イスラエルの異色醸造家が造る希少なワイン「フェルドスタイン・ワイナリー」
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Feldstein Winery(フェルドスタイン・ワイナリー)
フェルドスタイン・ワイナリーはイスラエル中部にあるブティックワイナリーです。
ワイナリーの醸造長であるアヴィ・フェルドスタイン氏は「ダイナミックで多様性に富んだワイナリーとして、様々な地域から選び抜かれたブドウを使用し、バラエティに富んだワインを生産する」という彼のビジョンを表現した特別なワインシリーズの開発を依頼されました。
フェルドスタイン・ワイナリーのワインラベルには、「自分たちの歩みで地図を描いていく」ということを意味するかのように、座標線だけが記された空白の地図が描かれています。
詩人や哲学者であり、バーテンダーでもあり、またツアーガイドの職業の経験もあるフェルドスタイン氏は、ルーマニアで生まれ、イスラエルのテルアビブで育ちました。
そしてテルアビブ大学で文学と哲学を学んだ後、スピリッツを専門に扱うバーのエキスパートとして働いていました。
フェルドスタイン氏はセガル社という酒類会社に勤め、そこで酒類に関する専門知識を身に着けました。
セガル社では、ブランドマネージャーとスピリッツアンバサダーを務めただけでなく、プロのバーテンダーになるための教育係としての役割も果たしました。
その後年齢を重ねるにつれ、フェルドスタイン氏の興味関心はスピリッツの世界から、ブドウ畑とワインの世界へと移っていきました。
フェルドスタイン氏は「セガル・ワインズ」の開発マネージャーとなり、ワインの開発にも携わることになりました。
彼はロバート・モンダヴィやシャトー・ムートン・ロートシルト、ペンフォールズなどの世界各国の有名ワイナリーを見学し、またそれらのワイナリーとの交流を通して、スポンジのようにワインに関する様々な情報を吸収していきました。
その経験と知識をもとにイスラエルのアッパー・ガリラヤがブドウ栽培に適した土地であると判断し、その地にブドウ畑を作りました。
フェルドスタイン氏はアッパー・ガリラヤの地で新たな事業展開を始めた先駆者の一人でした。
これをきっかけに、数多くのワイナリーがアッパー・ガリラヤにブドウの樹を植えるという流れが始まったのです。
1990年代後半には、フェルドスタイン氏はこれまでの経験を活かしてワイナリーのマネージャーからワイン醸造家へと転身する道を選びました。
彼は多くのワイン醸造家がするように、大学でワイン醸造を学ぶことはしませんでした。
その代わりに図書館で勉強をしたり、ワイナリーでの見習い経験を通して現場でワイン醸造を学び、独学でワイン醸造の資格を取得するという、一般的なルートとは異なる方法で醸造を学びました。
またフェルドスタイン氏はセガル・ワイナリーで「アルガマン」というブドウ品種の栽培に力を入れ、印象的なワインの生産にも成功しました。
アルガマンを使用して造られたフェルドスタイン氏のワインはボルドーの権威あるコンクールで賞を受賞するなど功績が認められ、フェルドスタイン氏は「ミスター・アルガマン」と呼ばれるほどになりました。
そんな異色の経歴を持つフェルドスタイン氏は現在、自身の名前を付けたワインブランドに大きなエネルギーを注いでいます。
イスラエルでローヌ品種をベースとして造られるフェルドスタイン氏のワインは数量限定で生産されています。
おすすめワイン
ここではフェルドスタイン氏が造るワインを2アイテムご紹介します。
アヴィ・フェルドスタイン ホワイト・ブレンド
ソーヴィニヨン・ブラン85%と、ローヌで主に栽培されているブドウ品種であるルーサンヌ15%をブレンドしたフルボディの白ワインです。
ルーサンヌのしっかりとしたコクのあるボディがソーヴィニヨン・ブランの風味を支えています。
パッションフルーツ、香り高いシトラス、フレッシュなグリーンハーブの香りが口の中に広がります。
アヴィ・フェルドスタイン レッド・ブレンド
シラー、グルナッシュ、カリニャンのローヌブレンドで造られる赤ワインです。
シラーが持つベリー系果実の味わいと、グルナッシュ特有のイチゴやチェリーのような軽やかさに、カリニャンの野性的なニュアンスがバランスよくブレンドされた複雑味のある味わいです。
機会があればぜひ、ユニークな経歴をもつ醸造家フェルドスタイン氏が造る希少なワインをご堪能ください。